消費者が安心して不動産取引ができる不動産流通市場の設備
事業者間連携による取組みの活動の目的
今日の不動産市場においては、消費者が安心して取引を行うことのできる中古住宅の流通市場を整備し、住宅・不動産取引の活性化を図ることが重要な政策課題となっています。
中古住宅流通市場の活性化を進める上では、実際の住宅取引やリフォームの場で消費者(売主・買主)と直に接する宅地建物取引業者(以下、宅建業者)の役割が重要です。
一方、消費者ニーズの高まりを見せるインスペクション等の各種サービスについては必ずしも十分な知見を有しているとは限らず、宅建業者が全てのサービスを行うのは困難でもあります。
そうした中、宅建業者がリフォーム業者やインスペクション業者、住宅瑕疵担保責任保険法人、金融機関等の中古住宅取引に関わる様々なサービスを提供する事業者と連携することにより、消費者に対してワンストップでサービスを提供することが求められています。
また、このようなサービスを消費者に提供するために、宅建業者等のコンサルティング機能の向上も求められています。
なおこの活動は、国土交通省の委託事業である、「平成24年度中古不動産流通市場の活性化に関する調査検討業務」及び「平成25年度中古不動産流通市場の活性化に関する調査検討業務」で募集し、採択された協議会によって実施されました。

全国14協議会の紹介
事業者間連携による新たなビジネスモデルの構築の取組みは平成24年度から、12の協議会でスタートし、平成25年度に新たに2つの協議会が加わり、合計14の協議会が、「消費者が安心して不動産取引が出来る不動産流通市場の整備」を目指して活動を行っています。
No. | 連携体の名称 | 地域 | 事業の名称 | 事業内容 |
---|---|---|---|---|
1 | 北海道既存住宅流通促進協議会 | 北海道 | 北海道既存住宅流通市場活性化事業 | 瑕疵担保保険法人の適合検査に、寒冷地特有の問題である凍結や雪害に関す る検査項目を加えた建物検査を実施し、対象物件の付加情報を消費者に提供 することで、より安全で安心な既存住宅の取引きを実現し、既存住宅の流通の活 性化、健全な市場の発展に貢献する。 |
2 | 東北地区中古住宅
流通促進協議会![]() | 東北全域 | 既存住宅価値保存・価値向上に よる流通促進事業 | 一定のスキルを持つ認定リフォーム事業者との連携により、被災住宅を含めた既 存住宅に必要な改修・リフォーム・耐震診断・瑕疵保険などをスムーズに提供し、 消費者が安心して取引ができる中古住宅流通システムの構築を目指す。 |
3 | 首都圏既存住宅流通推進協議会 | 首都圏 | 既存住宅流通活性化推進事業 | 既存住宅流通活性化に向け、連携関連事業者のリテラシー向上の為の教育研 修事業を軸に、既存住宅流通市場において連携に適した建築事業者を認定する とともに、瑕疵保険の案内を宣言する仲介事業者を増やし、事業者間・消費者と の間においても中古住宅流通がスムースに進む仕組みを構築する。 |
4 | 富山県中古住宅流通促進協議会 | 北陸 (富山県) |
中古住宅流通促進事業 | 宅建業者を中心に、インスペクション業者、リフォーム業者、アフターサービス事 業者、金融機関等と連携し、一般消費者が安心して安全な物件の購入ができる 体制を確立するとともに、金利優遇を含めた一体型住宅リフォームローンの普及 により、中古住宅の流通を促進する。 |
5 | 甲信越地区中古住宅流通促進協議会![]() |
甲信越全域 | 良品R住宅制度(仮称)の策定と 推進 | 瑕疵保険や住宅履歴等一定の条件を満たした中古住宅の認定制度を普及する とともに、宅建業者を中心に中古住宅流通・リフォーム市場に係る事業者が効率 的かつ円滑に連携できる仕組みを整備し、消費者にとって、安全・安心な中古住 宅の確保と取引を促進する。 |
6 | 静岡不動産流通活性化協議会![]() |
中部 (静岡県) |
ネットを利用した安心安全取引の 推進 | 建物、土地、価格についての検査・調査等のパック商品やインターネットを活用し た不動産オークションの普及を通じて、消費者へ安心・安全な不動産を提供する とともに、中古住宅流通市場の活性化を図り健全な市場を構築、住宅環境を循 環型に変えていくことを目的とする。 |
7 | 既存住宅品質サポートセンター | 中部 (愛知県・岐阜県) |
ホームインスペクション利用による既存住 宅流通の円滑化、ファイナンス商品の 開発、既存住宅流通情報がワンストッ プで提供できるサービスの実現 | 通常のホームインスペクションに加えて、「省エネルギー」や「防犯対策」等の サービスを付加することで、既存住宅の安心安全な取引を推進するとともに、適 正な鑑定評価に基づくファイナンスが講じられる仕組みを構築し、既存住宅の健 全かつ円滑な流通の活性化を目指す。 |
8 | 近畿圏不動産流通活性化協議会 | 近畿 (大阪府・京都府・ 滋賀県・和歌山県) |
中古住宅流通の健全化・活性化 事業 | 中古住宅売買時に今後スタンダード化を目指している「瑕疵保険・住宅履歴書・ インスペクション・リフォーム」等のサービスをワンストップ商品として普及するととも に、消費者が安心・安全な中古住宅の売買ができる市場を形成し、中古住宅流 通の活性化に貢献することを目的とする。 |
9 | 関西不動産流通活性化連携協議会![]() |
近畿 (大阪府・京都府・ 滋賀県・和歌山県) |
消費者と創る不動産流通市場の 透明化及び活性化事業 | 宅建業者が中核となり不動産流通関連業者や消費者団体等と連携し、消費者 目線に立ったサービスを開発・提供する。さらに各自治体等と連携し、ストック活 用型社会に向けた普及啓発・資質向上活動を広域的に行い、不動産流通市場 の透明化と活性化を図る。 |
10 | 兵庫既存住宅活性協議会 | 近畿 (兵庫県) |
安心の架け橋事業 | 旧耐震基準の中古住宅においても積極的に耐震診断とインスペクションを同時 に行う「耐震インスペクション」の手法を確立することにより、住み続けてきた家の 次の購入者にも、気持ち良く安心して暮らしてもらうための仕組みや体制づくりを 構築する。 |
11 | 建築・住宅支援センター協議会![]() |
近畿 (奈良県) |
奈良県不動産流通市場活性化 事業 | 不動産関連事業者に加え、官民の連携を進め、消費者の安心・安全な不動産 取引をサポートする体制を、県内モデル地域における空き家の実態調査等を含 めた具体的事例を用いて検証し、ワンストップで行う先進的な不動産流通ビジネ スモデルの形成を行う。 |
12 | 不動産コンシェルジュ中国地区協議会![]() |
中国全域 | 中古住宅流通市場整備・活性化 事業 | 消費者が安心して住宅を取得でき、リフォームを行うことができる市場の環境を 整備するため、既存住宅ストックの質の向上や流通の促進、多様なニーズに対 応した魅力ある中古住宅・リフォームを提供できる担い手の育成等の取り組みを 協議会ホームページなどを活用して総合的に推進する。 |
13 | 四国中古住宅流通促進事業協議会![]() | 四国全域 | 四国中古住宅流通促進事業 | 中古住宅を売買または賃貸する顧客に、正確で客観的な不動産情報を提供す るため、「インスペクション」や「住宅履歴」等を盛り込んだパッケージ商品を消費 者に提供することで、中古住宅 |
14 | 九州・住宅流通促進協議会![]() |
九州全域 | 消費者目線に立った不動産流通 市場の活性化事業 | 協議会のインスペクション等の各種サービスを、会員である「先導モデル事業者」 を通じて消費者へ提供し、また「賢い消費者」を育てる取組みとして、消費者に直 接「中古住宅取引に関する啓蒙・教育活動」を展開することにより、消費者が享 受できる各種サービスの質の向上と普及(標準化)を図る。 |
(注)この表に記載の「事業内容」は、応募時点(平成25年6月)のものです。
平成25年度講習会
平成25年10月から、全国11会場にて「不動産流通市場活性化のための講習会」を開催しました(参加費:無料)。
国土交通省では、消費者が安心して不動産取引が出来る不動産流通市場を整備するため、宅建業者を中心とする不動産関連事業者の連携による新たなビジネスモデルの検討や普及に取り組む、全国14の協議会の活動を支援していました(平成24年度・平成25年度)。
平成25年度講習会では、国土交通省担当者、民間有識者等が不動産流通市場の活性化について講演する他、(株)価値総合研究所と各協議会がその取り組みについて紹介しました。
講習会テーマ(各会場共通)
- ○全国で動き出した事業者間連携の取組み(価値総合研究所)
- ○ストック活用型社会に向けた不動産流通ビジネスのあり方(国土交通省)
- ○講師による講演(下表参照)
- ○各協議会の取組みについて~中間報告~
- ○質疑応答
講師及び講演概要
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講師
矢部智仁氏 リクルート住まいカンパニー 主任研究員
テーマ 消費者動向を踏まえた中古住宅売買における宅建業者の役割
会場 【東京、名古屋、大阪、札幌】の4つの会場
講演概要 市場や消費者ニーズの動向を踏まえて、中古住宅流通市場活性化のために求められる宅建業者の役割について講演を行います。
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講師
幸田昌則氏 ネットワーク88代表
テーマ 中古住宅流通活性化に向けた不動産業の経営と営業戦略
会場 【仙台、静岡、福岡】の3つの会場
講演概要 中古住宅流通市場の活性化に向けて、その中心的なプレイヤーとなる宅建業者の経営や営業戦略を中心に講演を行います。
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講師
大南信也氏 NPO法人グリーンバレー理事長
テーマ 空き家利用による地域再生
会場 【甲府、富山、広島、高松】の4つの会場
講演概要 社会問題となっている空き家問題を取り上げ、その利活用と地域再生をテーマに講演を行います。
シンポジウム
国土交通省では、消費者が安心して不動産取引が出来る不動産流通市場を整備するため、宅建業者を中心とする不動産関連事業者の連携による新たなビジネスモデルの検討や普及に取り組む、全国14の協議会の活動を支援してきました。
各協議会においては、インスペクションや瑕疵保険、住宅履歴等をパッケージ化した商品の開発や、一定の条件を満たした住宅の推奨制度の構築、不動産流通の場面でのリフォーム業者等との連携体制の構築等、様々なビジネスモデルの検討・普及が進められました。
本事業のとりまとめとして、平成26年3月25日に「不動産流通市場活性化・事業者間連携協議会シンポジウム」を開催し、全国14の事業者間連携協議会の活動を紹介・総括いたしました。
当日の様子を動画にてご覧いただけます。また、当日配布資料についてもダウンロードできます。どうぞご活用ください。
開催概要
主催: 国土交通省
運営: (株)価値総合研究所・㈱住宅新報社
時間: 3月25日(火)13:30~16:50(13:00受付開始)
会場: ニッショーホール(東京都港区虎ノ門2-9-16 日本消防会館)
参加費: 無料
動画・当日配布資料
お問い合わせ
株式会社価値総合研究所
中古流通ビジネスモデル事業係
メールアドレス:fudosanryutsu@vmi.co.jp